拘縮肩・凍結肩(Frozen Shoulder)に対する最新治療:サイレント・マニピュレーション
肩関節周囲炎(五十肩)・拘縮肩・凍結肩とは?
【肩関節周囲炎】
肩関節周囲炎、通称「五十肩」は、肩の痛みや首の凝り感、腕の可動域制限、激痛を伴うことがあり、日常生活に支障をきたします。腕を上げる、髪を洗う、服を着るといった動作が困難になることが多く、数年間にわたる長期的な痛みと制限を経験する方も少なくありません。
凍結肩の原因
- ① 肩の筋肉や関節の障害により炎症が発生。
- ② 痛みにより肩が動かせず、肩関節が硬くなる(関節包の癒着)。
- ③ 無理に動かすことで再度炎症が生じる。
凍結肩治療法:サイレント・マニピュレーション
初期段階の治療
肩関節の可動域訓練や肩甲骨周囲筋のストレッチ、炎症を抑えるための鎮痛薬、エコー下ハイドロリリース肩関節内注射などを行います。
サイレント・マニピュレーション
長期的な可動域の制限がある場合やリハビリでの改善が見られない場合、関節包の癒着が疑われます。その際には、外来で日帰りで行う「サイレント・マニピュレーション」を検討します。これは、エコーガイド下で肩関節に麻酔を施し、非観血的に関節の受動術を行う方法です。
サイレント・マニピュレーションの手順
- ① 麻酔:エコーガイド下でC5、C6神経根に1%メピバカインを注入し、肩全体を麻酔。
- ② 関節可動域の拡張:医師が肩を外転・内転・外旋などのポジションに誘導し、関節包を少しずつ広げていきます。
- ③ 術後の確認:エコーで肩関節の状態を確認し、可動域の改善を確かめます。
※ 術後は麻酔の影響で半日ほど肩や肘に力が入らないため、当日は車や自転車での通院を避けてください。
サイレントマニピュレーション実施後の流れ
治療後は三角巾で固定し帰宅。翌日から関節包の再癒着を防ぐために可動域練習を開始し、筋出力の向上を目的としたリハビリが必要です。スポーツ復帰の時期については主治医と相談してください。
注意事項
適応外の可能性がある方:糖尿病、甲状腺疾患、神経萎縮性疾患、骨粗しょう症の方は再癒着や骨折のリスクが高いため、施術前に医師との相談が必要です。
骨粗しょう症の方:骨密度検査の結果によってはサイレント・マニピュレーションが適応外となる場合があります。